量子化学とインフォマティクスを融合した研究成果と将来展望について、黒木が日本語にて解説した記事が、日本化学会のケモインフォマティクス(情報化学)部会誌Chemical Information and Computer Science Japan (CICSJ) Bulletinに掲載されました。
Chemical Information and Computer Science Japan Bulletin
量子化学・統計力学とインフォマティクスによるCO2物理吸収性イオン液体の開発
黒木 菜保子, 日本化学会情報化学部会誌 CICSJ Bulletin 43, 1, 15–18 (2025.12.26).
DOI: 10.11546/cicsj.43.15
物質の性質は、電子状態の変化により支配される。電子の運動を記述する形式的体系として、1925年にHeisenbergの行列力学が、翌1926年にSchrödingerの波動力学が発表され、量子力学の基礎が築かれた。この量子力学を応用して、物質の物理化学的性質を理解しようとする分野が、量子化学である。原理的には、波動方程式HΨ=EΨを解き正しい波動関数Ψを求めることで、あらゆる化学現象を正確に理解することができる。しかし、ごく単純な状況を除いて、波動方程式を解析的に解くことはできない。…そこで著者らは、カチオンとアニオンの独立した電子状態データベースを構築し、その組み合わせとしてイオン液体の熱力学量を予測するマテリアルズインフォマティクスを推進してきた。本稿では、この事例を紹介するとともに、今後の展望についても概観する。